ISU WORKS STORY BOOK 誕生秘話

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新しい椅子づくりを目指して

木工家のクラフトマインドと、小さな町の木工所の機械力・職人力との協働プロジェクトです。
知恵と技術力によって、使い手が手に取りやすい価格で、より美しい椅子づくりをめざします。

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OKHOTSKは、オホーツクの英文表記で、津別町からオホーツクの海まで車で1時間ほどの距離です。

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木工家・高橋三太郎(札幌)と、山上木工・山上裕靖(網走郡津別町)、2人は約30年前、津別町木材工芸共同組合の木製品開発事業のアドバイザーと、最年少の組合員として出会いました。事業終了後も、様々な公共建築空間において、家具デザイン高橋三太郎・製作協力山上木工として信頼関係を築いてきました。そしてコンピューター制御の大型木工機械による3D木材特殊加工、カラ松を使った高断熱木製建具と高い技術力で知られるようになってきた山上木工には、秘めたる思いがありました。

いつかはオリジナルな椅子メーカーになる!「オホーツクから世界へ」> 2011年 それが、ISU-WORKSの始まりです。

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カタチの生まれ方

左の図と下記の文章は2013年、2014年に札幌と東京で企画された「高橋三太郎・カタチの種デザインのタネ」展の時のもので、高橋三太郎のデザインの手法、椅子の生まれ方を説明したものです。
無から形は生まれない。必ず始めの一歩、始まりの一脚がある。どこに始めの一脚を見つけるのか、どう始めの一歩を踏み出すのか。それは、デザインのオリジナリティの大きな要素の一つとなる。「デザインは、思うことから始まる」とすれば、何を思うのか、どう思うのか、ということが、デザイナー・作り手のスタイルの原点である。
一つの椅子の中に、オリジナリティがあるのではなく、その椅子の前後の時間の量と質、そして、連続する椅子の中にしか、それは見えてこないのだと思う。
椅子を作り始めて、30年を過ぎた今、次の一歩を踏み出す為に、新しいデザインの種を見つける為に、今までの椅子を振り返ってみたいと思います。

2014.02 高橋三太郎

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始めの一歩・始まりの一脚

2011年、ネイチャーセンターの椅子をベースに、軽快でコンパクトな椅子ができました。それがGシリーズの一作目、LOGです。

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2009年利尻礼文サロベツ国立公園ネイチャーセンター。家具デザイン高橋三太郎、製作協力山上木工。フレームをナラ、座板を北海道の広葉樹、楡(ニレ)、胡桃(クルミ)、栓(セン)、梻(タモ)、栗(クリ)を使い少しラフな仕上げの、スタッキングできる椅子を作りました。

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  • G01 LOG
  • G02 HUG
  • G03 TAG
  • G04 PEG
  • G05 MAG
  • G06 MEG

LOGの原寸図の上に新しいトレーシングペーパーを重ねて。

LOGの現寸図の上に新しいトレーシングペーパーを重ねて、鉛筆で何本もの線を引くことによって、HUG、TAG、PEG、MAG、MEGと6種類の、それぞれ個性的な椅子、Gシリーズができました。軽くて、座りやすい、美しい椅子になりました。コンパクトで、スタッキングすることも可能です。 このプロジェクトがスタートしたばかりの製作現場の負担を少しでも軽くするために、3分の2を共通パーツとする6種類のオリジナルな形のラインナップです。ネーミングは母音を一文字持ったローマ字3文字で、その音の響きとそれぞれの椅子のイメージを重ね合わせました。2つ目の椅子HUGは、まさに後ろから抱きかかえられるような、ハグされるような形と座りごこちです。

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Nシリーズの始まりは「Gシリーズより、ゆったりとした椅子が欲しい」という声。

「凛とした、美しいただずまいの椅子をつくろう。」その始まりの一脚は、1990年デザインの「宙 SOLA」でした。

SOLAをゆったりとした、やさしい形に展開したのが「凛 RIN」です。

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1990年旭川のある家具メーカーと初めてのデザインの仕事でした。
その時、自分の工房でできない仕口、構造にチャレンジしてできたのが「宙SOLA」です。一時、松屋銀座の美しい椅子のコーナーにも並んでいましたが、家具メーカーが廃業のため、生産中止となりました。

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Nシリーズの2作目は、蓮の上で座禅を組む姿をイメージし、
MAGを大きくゆったりとして、あぐらをかける椅子「蓮 LEN」ができました。

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RINの背を、MEGの仕口で布張りにし、やさしい背あたりのGENができました。

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RAYとTACには長い歴史がありました。

1995年北海道警察本部庁舎の18F、喫茶ルームの家具をデザインしました。

RAYは1995年、北海道警察本部庁舎18Fの喫茶ルームの家具としてデザインされました。次に2000年の朝日新聞主催の「暮らしの中の木の椅子展」にて優秀賞を受賞しました。その時の製作意図として、こんなことが書かれています。「近代椅子デザインの原型として、①ウィンザーチェアー ②シェーカー③トーネット④チャイニーズチェアーと言われていますが、私にとっては、ハンス・ウェグナーのTheCHAIRが塊をけずり出して、形をみつけだす手法の一つの原型だと考えます。そこで、私のTheCHAIRを出品します。」。その後、高橋三太郎の代表作、定番として発表されてきました。
そして2014年秋に、一部を改良し、ISU-WORKSとして再デビューしました。

RAY TAC 商品写真

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TACのはじまりは札幌コンサートホールの補助椅子でした。

1996年の札幌コンサートホールの大ホール、小ホールの客席椅子のデザインをしました。同時にスタッキングができるホール用補助椅子KITARAをデザインしました。

TACは、1997年に札幌コンサートホールの補助椅子KITARAをベースにできました。スタッキング機能をなくすことによって、背を自然なカーブにしてできたのがTACです。RAY同様、高橋三太郎の代表作であり、定番として、一番多く製作してきた椅子です。その座りごこちの良さで、多くの腰痛の問題をかかえた人にも使われています。
TACもまた、2014年秋に、ISU-WORKSとして再デビューしました。

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MAYは昔、温泉宿の板の間にあったノスタルジックな、懐かしい雰囲気を形にしました。

  • MAY 写真1
  • MAY 写真2
  • MAY 写真3
  • MAY 写真4

MAYは英語で5月。北海道では、4月はまだ少し肌寒く、春の気配を感じるのは、桜ではなくライラックの花が咲き始める頃です。長い冬が終わり、初夏へと向かう心地良い気分をMAYという音のひびきに重ね合わせて、あぐらもかける、ゆったりとして、昔温泉宿にあったような、なつかしい形になりました。

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パピルスは、ギャラリートークの会話から始まりました。

パピルス 商品写真

「ギャラリーで使えるコンパクトで、スタッキングができて、具合の良いスツールがないよね」
アルバー・アールトのスツールは美しい名作だけど、一時間を超えるギャラリートークでは、体がつらい。そこで、できたのがパピルスです。パピルスとは紙の原語。紙と文字、それは文化。ギャラリースツールのネーミングにはピッタリです。パピルスのヒミツは5°の前傾。腰掛けた時、座面が5°前傾していることによって、自然に骨盤が少し起き、腰の負担を軽減します。

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